「高度IT人材の育成をめざして(案)」に対する意見
 メイ 上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ連絡会レンラクカイ略称リャクショウ:JSDG)
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JSDGパブリックコメント
作成サクセイプロジェクトメンバー代表ダイヒョウ : 植松ウエマツ 栄介エイスケ
 ケン
                             
1 はじめに  
   
  (1) 「上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ連絡会レンラクカイ」について  
   
   当連絡会は、情報処理技術者試験である「上級システムアドミニストレータ試験」の合格者及び当会の趣旨に賛同する者によって構成される団体である。
   平成8年(1996年)に実施された第一回試験合格発表ののち、合格者の交流を目的として発足した。  
   平成19年4月現在、会員カイインスウ日本ニホン国内コクナイ365名(合格者:319メイ特別トクベツ会員カイイン:3メイ準会員ジュンカイイン:43メイ http://www.jsdg.org/meibo_open.html参照サンショウ)にて構成コウセイ
  されており、過去試験での全合格者数(のべ)3413メイのうち10%チカくが所属ショゾクする国内コクナイ最大サイダイ規模キボ団体ダンタイとなっている。  
   
   当連絡会の活動は、メーリングリストやCMSを活用した会員相互での情報交換を中心に、研修会(年間:1〜4回)や全国大会(年1回)といったフェイス・
  ツーフェイスでの事例研究/コミュニケーションに加えて、雑誌・書籍/Web連載小説の執筆など様々なかたちでの情報を発信している。  
   また、情報処理技術者「システムアナリスト」試験の合格者を中心に構成される類似の団体「日本システムアナリスト協会(以下、JSAG)」とも相互交流を
  進めている。(AN、SDの双方に合格している重複会員も少なくない)  
   JSDGとJSAGを比較すると、ITコンサルタント・ITベンダーあるいは情報システム部門の立場である会員が多数を占めるJSAGと、利用部門あるいは  
  経営的な立場タチバからITの利活用をササえる会員が多く所属するJSDG(当会)では、会員それぞれが携わる業種や立場が異なっている。  
  トクに、JSDGの会員は本業としてIT分野以外の実務を主務としているケースが多く、情報システムを利用する立場での『情報化リーダ』『チェンジ・リーダ』的な
  人材が豊富である。        ※下記カキ注釈チュウシャク参照サンショウ
   このように、JSDGとJSAGは、同じ情報処理技術者試験合格者を中心としたコミュニティでありながら、スキル標準にある人材像が異なるように、事実、  
  明らかに異なった雰囲気を醸し出している。  
   
   当連絡レンラク会は、上級システムアドミニスレータ試験と同じく10年の歩みをもち、これまでの活動(研修会や各種講演会等)を通じて蓄積された貴重なコンテンツ
  に加えて、メーリングリスト等も含めて日常的に行われる情報交換により、会員相互に研鑽しあっている。また、当連絡レンラク会では、一つの組織や企業内に留まる
  ことなく、企業の枠を超えて活躍する人材が多数在籍している。  
   
  (2) ホンパブリックコメントについて  
   
   ホンパプリックコメントは、「上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ連絡会レンラクカイ」として公式コウシキなコメントである。  
   トウ連絡会レンラクカイのメーリングリストにて、パブリックコメント作成サクセイプロジェクトメンバーを全会員ゼンカイイン対象タイショウ公募コウボのうえで選出センシュツ。CMSを活用カツヨウして会員全員に対して  
  コメントを募集ボシュウした。そのうえで、集まったコメントをプロジェクトメンバーにて整理した上で、改めてJSDG会員全員に内容を公開し意見集約して完成させた
  ホンパブリックコメントを「上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ連絡会レンラクカイ」として投稿トウコウしている。  
  テキスト ボックス: 【用語の定義】
チェンジ・マネジメント(Change Management)
 企業の変革移行管理。経営改革において組織や制度を抜本的に変更するための管理手法。実施にあたって、変革目標を組織に浸透させ、従業員の意識改革を促進することが重要である。

チェンジリーター(Change Leader)
 企業などの組織において抜本的な業務改革を進めたり、新規事業を展開したりする際に、先頭に立って取り組む推進役のこと。鋭い着眼力や周囲を納得させられる説得力、リーダーシップを備えた実行力といった資質を備える必要がある。こうした人材を育成するために、組織としての対応が求められている。
 
   トウ連絡会レンラクカイでの会員カイイン全員ゼンインタイするコメントは、下記カキ設問セツモン沿って募集ボシュウした。  
   
  1.私が考える「上級シスアド」の人材像   
  2.現実社会における「上級シスアド」という人材の立場   
  3.「上級シスアド」のスキルとは?   
  4.「上級シスアド」のコンピテンシー/行動面は?   
  5.システムアナリストとの違いとは?   
  6.システムアナリストとの類似点とは?   
  7.情報処理試験システムアナリストとの統合についての意見   
  8.上級シスアド試験の将来系(あるべき姿)とは   
  9.パブコメで「これだけは言いたい!」   
   
2 パプリックコメント本文ホンブン  
   
  (1) 私が考える「上級シスアド」の人材像   
   
   情報ジョウホウシステム利用者リヨウシャ経営ケイエイガワ立場タチバ)としての『当事者トウジシャ』であり、ITを活用カツヨウした業務ギョウム改善カイゼンプロジェクトを推進スイシンするリーダーとしての人材ジンザイゾウである。  
   ITの専門家センモンカというわけではなく、CEOを補佐ホサしながら経営ケイエイ戦略センリャク企画キカク戦略センリャク情報化ジョウホウカ企画キカクにも関与カンヨあるいは主体的シュタイテキ参画サンカクし、その実現ジツゲンけて  
  関係カンケイする内部ナイブ組織ソシキ外部ガイブ組織ソシキんでプロジェクトを推進スイシンする中核チュウカクとなる人材ジンザイゾウである。  
     
    [コメント]  
  ❑ 「スペシャル・ジェネラリスト」・・・メインテーマは業務改善。  
       この目的達成のために、道具としてIT知識・経営知識・分析力・折衝力等を持ち、使いこなせる人材。  
  ❑ IT活用の「当事者」として、業務・ITシステムの企画・開発・運用の全てのプロセスに一貫して主体的に関与する人材。  
       「ストラテジスト」だけでなく「システムアーキテクト」や「ITサービスマネージャ」の機能が含まれる。  
  ❑ CEOの分身、業務がメイン、あくまで、ITは道具として活用、活用できれば、必ずしもITの専門家でなくて可。   
  ❑ 企業における業務改善推進のメインエンジン。  
       IT・経営・業務・そして人間系スキルを駆使して、トップもボトムも変えていけるチェンジリーダー。  
  ❑ 企業あるいは団体における情報システムの利用部門あるいは情報を活用する経営管理部門において、  
     業務と情報システムの両軸から推進するチェンジ・リーダー。  
  ❑ 現場の制約・業務システムを踏まえた上で、経営戦略をIT活用しながら実現できる人材。  
  ❑ 上級シスアドはアーキテクトにより構築された一般的モデルを業務の現場にあわせて実装できる人。  
  ❑ 経営的視点からシステムを捉えることのできる人材。  
  ❑ 地道な努力を惜しまない人。打たれ強い人。情熱的な人。結果的に苦労人。陽転思考の人。改善後の状態が想像できる人。etc.  
  ❑ 世のICTのトレンドを5年は先取りする「人柱」。時に疎まれ煙たがられつつ、全体最適を目指して現場をリードする人。  
   
   
   
  (2) 現実社会における「上級シスアド」という人材の立場   
   
   (1)コウにあるとおり、組織ソシキ団体ダンタイにおける実務ジツム部門ブモンとしてのIT導入ドウニュウ戦略センリャク実行ジッコウ中核チュウカクテキ人材ジンザイであるが、現実ゲンジツ社会シャカイにおいてはイマだその重要性ジュウヨウセイ  
  十分ジュウブン認知ニンチされているとはガタい。その処遇ショグウにおいても相応ソウオウ評価ヒョウカをうけているケースもあるが、一方イッポウでは「便利ベンリ/なんでも」といった領域リョウイキ  
  位置イチづけられているケースもある。  
   
   ソウじて現実ゲンジツ社会シャカイにおける「上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ」という人材ジンザイは、試験シケン制度セイド発足ハッソク10ネン歴史レキシアサく、累積ルイセキ合格者ゴウカクシャも3,413メイ市場シジョウ全体ゼンタイから  
  みれば極々ゴクゴクスク人数ニンズウであるといえる。しかし、試験シケンには合格ゴウカクしていない(試験シケン存在ソンザイそのものをらない)が、わがクニにおけるIT導入ドウニュウ戦略センリャクプロジェクトには
  カナラずとってよいほど(1)コウ役割ヤクワリたす人材ジンザイ存在ソンザイしており、その人材ジンザイがプロジェクトの成否セイヒをも左右サユウする存在ソンザイであることは、オオくのIT導入/戦略プロ
  ジェクトの現場ゲンバでは認識ニンシキされている。にもかかわらず、これらの人材ジンザイナカとしてタダしく認知ニンチされていないという現実ゲンジツがある。  
   
    [コメント]  
  ❑ ボトムアップからの業務改善リーダー/ムードメーカー  
  ❑ 企業などの組織にとって有用な人材であることがまだ十分に認知されているとはいえない。  
       結果として、「便利屋」的存在になりがち。また、計画的・体系的な人材の育成・再生産も不十分。  
  ❑ 企業側・経営側から見て「業務改善推進の重要さ」と「上級シスアド的スキルを持った人材の必要性」とが十分結びついていないと考える。  
       よって現状ではより高いスキルを有した「便利屋以上リーダー未満」程度の位置付けしか与えらていないような気がする。  
  ❑ 所属は情報システム部門あるいは利活用部門であり、様々な情報化プロジェクトにおける牽引役(キーマン)となっている人材。  
       インフォーマル組織(人脈)を持っているのが特徴。ただし、上層部や組織の中では異端児である場合もあり処遇についても様々。  
  ❑ あくまでもユーザー部門の改革推進者、もしくは改革者に請われたコンサルであり、ITをその手段につかいこなせる人材。  
  ❑ これだけでひとつの職務として確立することが難しいと思います。  
  ❑ 組織を改革するための権限を必ずしも十分与えられていないかもしれない。  
  ❑ 私の仕事柄もありますが、ICT人材育成担当者としては一定の評価を頂いているのでは、と思います。  
   
  (3) 「上級シスアド」のスキルとは?   
   
   上級ジョウキュウシステムアドミニストレータにモトめられるスキルとは、情報ジョウホウ技術ギジュツ(IT)のスキルだけではなく、本業ホンギョウとしての業務ギョウムスキルにクワえて、  
  コミニュケーションやコーチング,ファシリテーションといったテクニックだけにはトドまらないオオきな意味イミでの『人間ニンゲンリョク』がモトめられる。  
   
    [コメント]  
  ❑ 1.自社の業務プロセスを詳細に知っていること。  
       2.基本的キホンテキなIT知識。  
      3.意見調整能力。  
  ❑ 周りに「気付き」を与えられる力/ビジョン提供力。  
  ❑ 1.経営・業務に関する高度な知識・能力  
       2.ITに関する基本的な知識・業務面からの評価能力(利便性等) 。  
  ❑ IT技術・高度な業務知識・経営知識・人間系スキル(調整・問題解決)の総合力が求められる。  
       特定の項目が突出するのは武器になるが、どれも欠落してはいけない。  
  ❑ 1.現状の業務システムを理解していること。  
       2.内外から広く情報収集をしており、現状の課題(ギャップ)認識/問題意識を持っていること。  
       3.課題の解決に向けた仮説やその実行にむけたシナリオを作れること。  
       4.シナリオを実行に移せるプレゼン、コミニュケーション、行動、説得といった人間力が高いこと。  
       5.最後まであきらめずに常に継続して組織力と人材育成に取り組んでいること。  
  ❑ 1.業務に精通していること。  
       2.ITの技術動向を知るチャネルを持っていること。  
       3.1と2を効果的に結びつけて改善に反映できること。  
  ❑ 「情報処理技術」としてのスキルは、この報告書案に十分記載されていると思われるが、「上級シスアド」の場合、  
       「情報所理技術」以外の業務のスキルの比率が大きく、これを考慮しないわけにはいかないと考える。  
  ❑ 業務のエキスパート、豊富なIT関連知識、熱意、継続力、人徳、人脈  
  ❑ 「人間臭さ」と情報技術との絶妙なバランス力。あと「コミュニケーション論」の知識と実践。  
   
  (4) 「上級シスアド」のコンピテンシー/行動面は?   
   
   (3)コウのスキルとも重複チョウフクするコメントもあるが、タンにスキルをユウしているたけでなく、実際ジッサイ行動コウドウしていることが重要ジュウヨウとの認識ニンシキである。  
   トクに、ミズカらから所属ショゾクする組織ソシキ団体ダンタイにおけるマネジメント階層カイソウにもハバヒロカカわっていることや、外部ガイブにもコネクションをっている(とうとしている)ことも  
  上級ジョウキュウシステムアドミニストレータの行動コウドウメンとしてモトめられる。  
   
    [コメント]  
  ❑ 1.断片的な事実を論理的に組み立て、問題点や課題を抽出・整理し、解決のために粘り強く取り組む、  
       2.様々な人々とコミュニケーションをとることができる。  
       3.面白くてためになるプレゼンテーションを行うことができる。  
  ❑ 理解力・問題解決能力・推進力を駆使して、現実と理想との間にはしごをかけることができる。  
       はしごの登り方・登らせ方にも精通している。  
  ❑ 1.所属する企業団体において経営レベルでの会話をしている。  
       2.情報収集のために社内社外でのチャネルを有し、情報収集とともに情報発信(仮説の検証)にも努めている。  
       3.所属する企業団体において常に課題認識とその解決に取り組んでいる。  
       4.課題解決の様々な手法に精通しており実践している。  
       5.利害関係者を含む組織を巻き込んで行動している。  
       6.常にあるべき姿を意識して組織やプロジェクトを牽引している。  
       7.次代を担う人材を育成している。  
  ❑ 戦略企画立案だけでなく、PDCAすべてのフェーズに渡って実行力を発揮できることが必要。  
  ❑ 「わからない人」の気持ちを容易に汲み取れ、説明をどこまでも噛み砕けるスキル。  
   
  (5) システムアナリスト(AN)と上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ(SD)の違いとは?  
   
   ストラテジストとしてのANは【IT戦略センリャク計画ケイカク立案リツアン】をニナい、SDは【業務ギョウム改革カイカク/IT導入ドウニュウ/戦略センリャクプロセス】のスベてをニナっている。  
   ANは、システムガワ人材ジンザイであり、SDは、利用者リヨウシャガワ人材ジンザイである。  
   この設問セツモンでは、比較ヒカク象限ショウゲン回答カイトウシャによってコトなっているため、コメント原文ゲンブンをそのまま掲載ケイサイする。  
   
  ❑ 必業務遂行上の立場が違うだけ。それ以外でしいて言えば、(SDは)自社の業務に精通していること。  
  ❑ ANは、IT戦略・計画策定までを担当(SDは全てのプロセスに関与)。ITの知識・スキルは、よって、SDよりも高い専門性が求められる。  
  ❑ システムアナリストはCIOの分身。経営もわかるITのプロである。  
  ❑ システムアナリストは経営側の代理人。シスアドは現場の代理人。  
  ❑ ANは外部のITベンダーあるいは主軸をITにおく情報システム部門。SDは組織団体の内部で主軸を業務におく実務部門。  
       ただし、業務に精通した情報システム部門にある。根本的な違いは「当事者(SD)or第三者(AN)」にある。  
  ❑ ANの出発点は経営者。SDは現場。  
  ❑ システムアナリストは、情報戦略を企画し、情報システムに反映出来る人材である。  
       システムアドミニストレータは、利用者側のリーダーとして、システムアナリストに企画・改善を提案する。  
  ❑ 持論にハク(裏付け)を付ける際、ANはアカデミックに理論武装し、SDは自分の足で状況証拠を集めるというメンがある。  
   
   
  (6) システムアナリスト(AN)と上級ジョウキュウシステムアドミニストレータ(SD)との類似点とは?  
   
   (5)コウ同様ドウヨウ比較ヒカク象限ショウゲン回答カイトウシャによってコトなっている。ただソウじて、情報ジョウホウ処理ショリ技術者ギジュツシャ試験シケンというスキルの認定ニンテイ方法ホウホウについては、ANと  
  SDとでは共通項キョウツウコウオオいという認識ニンシキでは一致イッチしている。  
   
  ❑ 習得しなければならない事項ははほとんど等しい。  
  ❑ ユーザー企業(経営者、利用者、発注者)の立場である点。業務・IT双方の知識が求められる点。   
  ❑ よく考えると「立場の違い」以外に明らかな違いは無いような気がする。  
       ただし立場の違いにより180度異なった解が導き出されることもあることには留意する必要がある。  
  ❑ AN,SDともにCIO(あるいは経営者)の候補生であること。ストラテジストという人材像でOK。  
       キャリアパスとしてIT部門からか業務部門からかの違い。  
  ❑ 修得すべき"情報処理技術"のスキルという点では共通点は多い。その面で、今回の報告書案のストラテジストという共通化案は、  
     ある意味リーズナブルである。しかし、すべてが同じというわけではない。  
  ❑ 経営と戦略  
  ❑ 共に、表現力と、物事を鳥瞰するスキル。  
   
  (7) 情報処理試験システムアナリストとの統合についての意見   
   
   (6)コウのとおり、ANとSDとでは類似ルイジしているテンオオく、習得シュウトクすべきスキルとしては共通化キョウツウカ可能カノウだと判断ハンダンできる。しかしながら、SDのみがユウする  
  特性トクセイやコンピテンシーについては、ANとはマッタチガった一面イチメンユウしているとの認識ニンシキでは一致イッチした見解ケンカイであり、ITを利用リヨウするガワ立場タチバナカで、その業務ギョウム  
  改革カイカク推進スイシンするコアパーソンでありチェンジリーダーであるSDの存在ソンザイ意義イギウシナわれることにタイする危惧キグについても同様ドウヨウである。  
   
  ❑ 早いところ統合してください。  
  ❑ SDとANのよいところを相互に採り入れたイメージの新たな人材像を提示するのであれば、人材像としてのSDとANの統合には賛成。  
       試験制度におけるSDとANの統合に関しては、「ストラテジスト」のみの試験とすることには反対。  
  ❑ 確かにAN・SDに必要とされるコアスキルとして「ストラテジスト」に統合することは出来なくはないと考える。しかしながらSDを  
     「業務改善推進のメインエンジン」と考える私の立場としては、そのような人材の発掘・育成を試験制度の中でどのように担保していくのか、  
     疑問に感じる。IT利活用の現場において一歩後退するような印象を受ける。  
       ただ逆に考えると、「試験制度では立場・軸足の違いまではかれませんよ」というメッセージともれる。  
  ❑ 人材像としてのストラテジストは、AN/SDからさらに上位のキャリアパスとして認識する。しかし、現実社会の中で圧倒的に重要であり、  
     かつ不足しているのは上級シスアド的な人材である。その意味で、試験統合云々の前に、上級シスアド的な人材の必要性や組織団体  
     における処遇、経営者レベルへの啓蒙(徹底!!)など対策なくしては本報告書の趣旨と乖離する危険性がある。  
  ❑ SDはエンドユーザの情報リテラシ底上げのため創設されたのだと勝手に思っているのですが、統合によってその看板が無くなり、  
     利用者部門の資格普及に悪影響とならないかだけが心配。統合自体には賛成です。  
  ❑ 単純な統合には反対。位置づけを明確にし、必要な「情報処理技術」の共通点に限っての統合するのであれば可。  
       ただし、「ストラテジスト」は、戦略の企画(P)のみとなっており、これだけが、現状の上級シスアドの後継となるのには反対。  
  ❑ 違う人材像を統合することはできない。共通項を抜き出して別の人材像を作るということか。相違点を置き去りにしないように。  
  ❑ 現場で人材育成を担う人の呼称として「ストラテジスト」では、しっくり来ないものがあります。また、旧AN・SD合格者の存在が、  
     やがてうやむやにされかねない(旧プロダクションエンジニア試験合格者のように)という危惧を感じます。  
  ❑ 情報処理技術者試験で認定しようとするスキルは、同じでも構わない。良いとも思わないが止むを得ないであろう。  
     しかし、システムアナリストと上級シスアドを、ひとつの試験区分で一括りの人材像とするのではなく、より適切な新しい試験区分の名称を  
   考えた上で、人材像としては分けて考えてほしい。』  
   
  (8) 上級シスアド試験の将来系(あるべき姿)とは   
   
   現行ゲンコウ試験シケン制度セイドにおける「初級ショキュウシスアド」と「上級ジョウキュウシスアド」とは直線チョクセンテキにはつながってはいないという認識ニンシキである。難易度ナンイド現実ゲンジツ社会シャカイでの  
  人材ジンザイゾウとしても『中級チュウキュウ』レベルでの認定ニンテイ必要ヒツヨウだとする見解ケンカイである。また「ストラテジスト」として現行ゲンコウのANとSDが統合トウゴウされるのであればなおさら、  
  別途ベット中級チュウキュウレベルとして『チェンジリーダー』の候補者コウホシャ育成イクセイする制度セイドノゾまれる。それを前提ゼンテイとするならば、上級ジョウキュウシスアド(SD)がより高度化コウドカ  
  遂げ、CEOの候補生コウホセイとしての『ストラテジスト』に統合トウゴウされることは(7)コウのとおり賛同サンドウできる。  
   
  ❑ 約50万人の初級シスアド合格者に対する「次のキャリアパス」を提示する必要あり。情報セキュアドは、対象領域が限定されているため  
     不適切(ex.セキュリティと利便性のバランスを考えることもシスアドの役割)。上級シスアドは、初級との難易度の格差が大きすぎるため、  
     無理がある。従って、例えば、上級シスアド試験の午後Iまでの合格者を「中級」、午後IIまでの合格者を「上級」とし、各々についてセキュ  
     リティの要素も加味した試験内容とするといった案が考えられる。  
  ❑ 私も初級シスアドと上級シスアドとは地続きではないと感じている。そのあたりのこと(初級シスアドの位置付け)も今回の試験制度改革には  
     盛り込まれるのでしょうが、そこは明確に「IT基礎知識」をはかる試験と「IT利活用を含めた業務改善推進リーダー候補」をはかる試験とを  
     区分すべきなのか、とも考える。また試験制度的に上級シスアドに求められている各スキルが、本当に企業が欲しているものなのか?  
       過不足(主に不足)はないのか?ということも考えてみる必要があるような気がする。  
  ❑ 米国で実施されているCIO認定試験に、日本固有事情(組織の価値観、就労感、文化的側面)でのコンピテンシーを加えた設問/論述、  
     面接をクワえた試験を実施ジッシする。インドのように国策コクサクとして人材DBを作って過去の経歴や活動実績も評価に加えるのも一考。  
       ストラテジストとは別に『チェンジリーダー(CL)試験』を創設ソウセツし、試験は民間のNPO法人(JSAG/JSDGをNPO法人化ホウジンカ)で実施する。  
  ❑ 利用者側の人材としての上級シスアド試験は、継続もしくは別途作成されるべき。  
       また、中級、初級を含めて、利用者側人材としての試験は継続すべき。  
  ❑ 試験の運営について。「共通キャリアフレームワーク」レベル4以上(高度IT人材)を、試験+業務履歴+面接で認定する案には賛成ですが、
     (特に、業界が狭い場合)上位レベルほど面接担当者と受験者が既知の仲である確率が高くなり、公正な認定が行えるのかに疑問が残る。  
   
3 最後サイゴに (パブリックコメントにサイして)  
   
   JSDGとしてのパブリックコメントの作成サクセイけ、アンケート形式ケイシキでの投稿トウコウにてコメントを募集ボシュウしたが、そのサイに「これだけはいたい!」という設問セツモンにて、  
  今回コンカイの『高度IT人材の育成めざして』という試験シケン制度セイド改定カイテイアンタイするオモい(感想カンソウ)を自由ジユウ形式ケイシキにてツノっている。全体ゼンタイからみれば少数ショウスウ意見イケンぎないが  
  IT導入ドウニュウ戦略センリャクプロジェクトの現場ゲンバで、さらに利用リヨウシャナカ日夜ニチヤ格闘カクトウしているキーパソンの率直ソッチョク意見イケンである。 加筆編集を加えることなく、その全てを  
  列記することで、JSDGとしてのパブリックコメントのめくくりとした。  
   
  ❑ 人材像・スキル標準・試験制度については、「机上の空論」でなく、現場の実態を踏まえつつ、その改善に役立つものとするべき。  
  ❑ 現場で本当に必要とされる人材像は、試験制度・スキル標準の中ではなくやはり現場にあると思うが、試験制度・スキル標準によって  
     必要人材の創出・活用などを促すことはできると思う。企業規模の違いにより必要とされる人材像は異なり難しいとは思うが、より実効性の  
     ある絵を描いてもらいたいと思う。  
  ❑ 報告書の内容は理想像として大いに評価します。しかし趣旨文にある危機意識のとおり「わが国IT産業が抱える問題」を現実社会の中に  
     実装していく「プロセス(施策)」が不十分であると考えます。その解決策が「IT経営応援隊」だけではなく、大企業を含めた人材の必要性  
     (処遇を含む)の周知や、特にITを導入する組織団体の中に必要となる上級シスアド的人材の確立など、理想を現実に刷り込んでいくための  
     施策を盛り込んだうえでの試験制度の改定を希望します。  
  ❑ 折角の「システム利用者側」の人材という視点が置き去りにされたと感じます。必要とするスキルに共通な部分があるのは事実ですが、  
     情報処理技術者試験のための人材像になってしまっているような気がしてなりません。  
  ❑ ユーザーの「現場」レベルでの技術力や行動力を量る部分を残した方がよい。  
  ❑ 人材教育を担当する傍ら「ネットを介したコミュニティ」の研究を行う私としては、実践的人材育成の面で「プロフェッショナル・コミュニティの  
     役割」に期待を寄せている点に大いに賛同し、私も一役買いたいところです。ただ、「教育エンジニアによるコミュニティの創設支援を検討  
     する」とは言葉の響きは良いですが、いわゆる「カリスマ講師」を支援する事につながりかねず、それが各種トラブルの元凶となることを  
     危惧いたします。  
  −  ジョウ −