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設立の経緯について

我々の連絡会は、通産省管轄の国家試験である「情報処理技術者試験」の合格者及びその協力者によって構成される団体の一つです。といっても「情報処理技術者」という同じ名前の資格試験ですが、情報処理技術の高度化と多様化により試験の区分はどんどん細分化されています。「上級システムアドミニストレータ」は、平成8年度より新設された高度分類に属する最も新しいユーザー系の試験区分です。

第一回試験は昨年(平成8年)10月に行われ、5,361名の受験者(応募者8,487名)に対し、325名が合格しました。発表は平成9年1月末に、官報及び日刊工業新聞と、パソコン通信 Nifty-serveの資格試験勉強会フォーラム「FLICS」でも行われました。そこで、発表直後にFLICSにおいて、合格者の交流を目的として「協会設立準備会」の呼びかけをしたのがこの会発足のきっかけとなりました。

この試験の対象は「情報システムの利用者の立場で、業務システムの改善と情報システムの企画・立案に主として従事するもの」ですから、その合格者の属する、業種、職種、地域、年齢などは多岐にわたる事が容易に想像されました。EUC(エンドユーザー・コンピューティング)に係わる多くの合格者が連絡しあえるようになれば、これは「今までにない異業種交流ができるぞ」というのが、呼びかけのきっかけでした。即座に10名程度の賛同があったのですが、予想通り小売業、製造業、金融サービス業などと、その職場は多様でした。しかし、全員が情報処理技術の利用によって、常に業務改善に真剣に取組む真面目な社会人であると同時に、企業の枠にとらわれない、進取の精神にあふれた新しいタイプのビジネスマン(又はウーマン)である事もわかりました。

当初は「名簿ができれば、そこから自由に連絡を取り合って、交流が始まればいい」と考えていたのですが、単なる呼びかけ人である私だけが各人から寄せられたメールを保管しているのも申し訳ないし、何よりも一刻も早く交流を始めようとメンバー間で「同報メール」によって連絡しあう事にしました。

呼びかけから約1ヶ月後の3月初めには、インターネットを使って、自動的に同報メールができるようにと、メンバーの一人である相川さんがメーリングリストの開設手続きをとってくれました。現在までそのメーリングリストで相互の情報交換や議論を行っています。

平成9年7月現在、23名の合格者と、数名の特別会員と準会員によってグループが構成されています。

3月には東京で、また、6月には京都で第一回の会合を開き、現在「出版プロジェクト」「研修プロジェクト」などの活動をメーリングリストを使って活発に行っています。今後も、さまざまな活動と情報交換によって、お互いに刺激しあいながら自らの情報リテラシィ向上を目指しています。7月20日には研修プロジェクトで企画した「上級システムアドミニストレータ連絡会第一回研修会」も盛況の中、無事開催する事ができました。

第一回合格者が集まってできたこの会も、はや、半年の時を経ました。第二回の試験が秋には開催されますし、来年1月の発表時には、無事新しい合格者を迎えるだけの基盤ができたように思います。情報通信技術の発達、特に「パソコンによる電子メールの利用」という手段がなければ、全国に散らばった合格者がこんなに早くお互いに連絡を取り合うことも、ましてや組織を形成する事などは不可能だったでしょう。その意味でも、この会の誕生そのものが新しい時代のコミュニケーションのあり方を象徴しているような気がします。

時代は、情報処理技術を導入する段階から、さらに多くの人や組織がこれを積極的かつ効率的に利・活用する方向へ進んでいます。その意味で「社会一般に対する情報処理技術利・活用方法の普及や教育」がますます重要になっていくでしょう。利用者側のリーダーとして位置づけられた上級システムアドミニストレータが、今後もこの会に参加し、共に自己を磨く場となれば、この会の設立を呼びかけたものの一人として幸せだと思います。

なお、設立呼びかけ当初からご協力をいただいている特別会員の高島利尚さんと清水順夫さんには、大変お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。

第一回合格者 呼びかけ人(その1) 筆島 務