我々はどう生きるか?どう老いるか?

当会会員の1人が「まるでJSDGの分析本」と紹介してくれた「ゆるいつながり」という本を読みました。

「ここ十数年の間に、日本人の人間関係のあり方、つまり、人と人との「つながり方」がずいぶん変わってきたように思います」という一文から始まる本書では、インターネット普及前の「昭和的強制のつながり」から、「ゆるいつながり」の時代になったとしています。私もこの「ゆるいつながり」はまさにJSDGのことだと思いながら、「ゆるいつながりは、一緒に成長していけるマインドの高い仲間たちの結びつき」との一節に意を同じくしました。

もう少し本の内容を引用してみましょう。

昭和的強制のつながり
①人間関係が濃密なようで、希薄
②人と知り合うためのハードルが高い
③知り合える人の幅が狭く、画一
④出る杭は打たれる

ゆるいつながり
①人間関係が希薄なようで、濃密
②人と知り合うためのハードルが低い
③知り合える人の幅が広く、多様
④出る杭は伸ばされる

私は2001年にJSDGに入会して今年で四半世紀になります。べったりでもなく、疎遠でもなく程よい距離感で「ゆるいつながり」のJSDG。私自身はJSDGの「ゆるいつながり」のおかげで、人生がとても豊かになりました。多士済々の仲間から得られるITや業務改革事例にとどまらない多種多様な知見、イベント企画やコミュニティ運営の難しさと楽しさ、本を著すことで得られるあまりにも多くのメリット、走り切ることで得られる自信と達成感などなど会の仲間から借りた勢い(JSDG用語で借勢と言います)で、人生の幅が想像を超えて広がっており、「ゆるいつながり」には感謝してもしきれません。

 

昨年のJSDG全国大会のテーマは「我々はどう生きるか?どう老いるか?」でした。少子高齢化により今後社会は大きく変わり、情報技術も著しい進化を続けていきます。「老いる」という言葉にネガティブな印象を抱くかもしれません。私たちは議論を重ねる中で「老いる」とは年齢を問わず考えるべきことであり、人生100年時代において、旧来の「老いる」という概念を再定義すべき時では?考え続けることのトリガーになる場になれば、という考えでこのテーマを設定しました。2025年のJSDG活動テーマも引き続き全国大会と同じ「我々はどう生きるか?どう老いるか?」にします、と会の皆様に年頭挨拶で申し上げました。

本書には、もうひとつ大事な警鐘が書かれています。「ゆるいつながりがメインになる時代には、オリジナリティ(自分自身の価値)がないと豊かな人間関係は築けない」と。

我々はどう生きるか?どう老いるか?

この1年、「ゆるいつながり」の中で、引き続きモヤモヤと考え続けていきましょう。
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「ゆるいつながり」本田直之著、朝日新書

https://www.amazon.co.jp/dp/4022737581