実演!Excelを使った身近なデータ分析~1.CRM施策とデータ活用による顧客育成フレーム

こんにちは、阿久津恵子です。
「ユーザ視点、データ起点」としてExcelを使った身近なデータ分析を、ここで紹介いたします。

具体的には、企業にある身近なデータの1つ顧客管理データを使って、CRM(顧客関係管理)のためのデータ分析をします。

2017年JSDG東京研修会でご紹介した内容を、今回から5回にわたって説明いたします。この連載の概要は前回のページをご覧くださいませ。

1.CRM施策とデータ活用による顧客育成フレーム

まず分析を始める前に、CRM施策について説明いたします。

CRMは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略語で、「顧客関係管理」や「顧客管理」などと訳されます。
その言葉通り、顧客と良好な関係を構築することを目的とした営業マネジメント手法です。

近年CRM施策においてデータ分析が活用され、それによる一般的な顧客育成フレームは下図のようになっています。

本実習では、このフレームの「現状の顧客構造/あるべき顧客構造を知る」をスコープとしています。

さて、施策を実施するにあたり、顧客の実態を正確に把握する事が重要ですが、その為に顧客定義を以下の様に行います。

①休眠顧客:直近の購買から半年~1年以上購入履歴のない顧客
②新規顧客:初めて購入した顧客
③リピート顧客:2回以上の購買があるが採算ラインに満たない購買の顧客
④優良顧客:コスト回収ができる採算ライン以上の購買顧客
⑤ロイヤル顧客:○人分以上のコスト回収ができる売上上位○○%の購買顧客
※○については、当該ケースの状況によって設定します。

下図にあるように、②~⑤の顧客は①の休眠顧客になる可能性もあるため、如何にそれを阻止して④の優良顧客や⑤のロイヤル顧客へ育成するかが重要です。

顧客数と購買金額をグラフにすると、一般的な企業の顧客は下図のようになります。
つまり新規顧客は人数が多く、購買金額が少ない一方、優良顧客・ロイヤル顧客になるほど、人数は少なくなり、購買金額は大きくなります。

そのため、それぞれ定義分類した顧客を把握し、それぞれの顧客に対して、分類に応じた適切なアクションをおこし、顧客満足度を上げたり、解約の阻止やリテンション(※)を行う事がポイントとなります。
(※)リテンション:既存顧客との関係を維持していくためのマーケティング活動

施策前後でデータ分析を行う事で、各分類の顧客の人数の推移および施策の効果を定量的に評価する事が可能になるのです。

さて、次回からは具体的にExcelを使って以下の様な流れでデータ分析を行って行きます。

2.実践①データ基礎俯瞰1
3.実践②データ基礎俯瞰2
4.実践③顧客構造分析
5.実践④顧客状態推移分析